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ドーム兄弟

ドーム兄弟の作品の特徴、プロフィールなどを紹介しています。

 

ドーム

ガレと同様にアールヌーボ期の作家で、淡い色合いの作品がすばらしいです。

 

ドーム兄弟は、ガレと違いガラスに関する知識はあまり無く、彼らの父親が共同経営していたガラス工場を継いだに過ぎませんでした。当初は量産の日常ガラス器や食器を製作しており、その間に少しずつ研究して行き次第に経営は安定していきました。

 

その資金を元に次第に芸術作品を制作するようになり、彼らの作品は最終的にはガレの作品と並ぶ評価をされるようになりました。ドーム兄弟は、ガレの作り上げた革新的なガラス技術を模倣し、さらにオリジナルの技法を加えていったのです。

 

ガレはその革新的技法を作り上げるのに、何十年も掛かったのに対し、ドーム兄弟は模倣からですから数年で追いついてしまいました。革新より模倣は容易ですから仕方ありません。

 

【プロフィール】

1853年〜1900年、 兄オーギュスト・ドーム。
1864年〜1930年、 弟アントナン・ドーム。 
兄は1878年、弟は1887年、それぞれ父のジャン・ドームがナンシーで経営していたガラス工場に入ってガラス工芸にたずさわる。
日用的なガラス食器等の製造をしていたが、1889年、エミールガレのパリ万博での成功を契機に、彼らの工場でも格調高い美術作品の生産を開始。アールヌーボー様式の優美な作品を数多く世に残した。彼らもまた、ガレと同じく芸術表現のため、アンテルカレール(内部装飾技法)や、ヴィトリフィカシオンなどの装飾技法を開発し、ガラス工芸の表現の可能性を飛躍的に高めた。
また、パート・ド・ヴェール作家のアマルリック・ワルターをはじめ、ジャック・グリューベール、アンリ・ベルジェ他多くの芸術家をデザイン、制作、装飾の専門家として迎え、水準の高い美術ガラス作品を生産、市場に送り出すとともに、家具作家ルイ・マジョレルや、金工作家のエドガー・プラントとの共同製作も手掛け、ガラス以外の素材との組み合わせによる芸術表現も積極的に試みた。
ガレの工房が1931年に閉鎖したのとは対象的にドーム社は1920年代よりアールデコ様式の作品を手掛け、またそれ以降もクリスタルガラスのオブジェの制作やサルバドール・ダリのデザインによるパート・ド・ヴェールの作品を発表するなど時代の流行に即した作品を発表し続けた。
同社は現在も、高級クリスタルガラスの専門メーカーとしてクリスタル・ドームの社名で存続している。

 

 
 
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